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2006年撮影

2007 日本・東北ユース事情   text by 小林 健志

大活躍のU-20日本代表は仙台カップの大敗から始まった

 7月に行われた「U-20ワールドカップ」をご覧になった方はいらっしゃるだろうか。試合を見ていないという方でも、ゴールを決めた後ビリーズブートキャンプやサムライ、ドラゴンボールの“かめはめ波”など奇妙なパフォーマンスを繰り広げる若者達の姿を、ワイドショーや情報番組などでご覧になっているかもしれない。
吉田靖監督率いるU-20日本代表はカナダで行われたU-20ワールドカップグループステージでスコットランド、コスタリカに快勝。残念ながら決勝トーナメント1回戦でチェコにPK戦の末敗れはしたが、人もボールも動くテンポの良いサッカースタイルと、今までの日本人では考えられない派手なゴールパフォーマンスは鮮烈な印象を残した。
しかしU-20ワールドカップで光り輝いた若きジャパンブルーの戦士達は2年前、ここ仙台の地で大きな試練に遭っていた。
2005年仙台カップはこのチームの立ち上げ時に行われた大会で、まだ「U-18日本代表」であった。最終日のU-18東北代表戦では2-5の惨敗を喫した。この大会で大敗したことから、その後なかなか自信回復できず、チーム強化は難航を極めていった。しかしこの大会で大敗を喫した苦い経験は、最終的にU-20ワールドカップという本番で活き、非常にタフなチームになった。
この時のU-18日本代表からU-20日本代表最終メンバーに生き残ったのは、GK武田洋平(大津高→清水エスパルス)、DF槙野智章(サンフレッチェ広島ユース→サンフレッチェ広島)、内田篤人(清水東高→鹿島アントラーズ)、安田理大(ガンバ大阪ユース→ガンバ大阪)、MF梅崎司(当時・現所属共に大分トリニータ)、柏木陽介(サンフレッチェ広島ユース→サンフレッチェ広島)、青山隼(名古屋グランパスエイトU18→名古屋グランパスエイト)、FWハーフナーマイク(横浜F・マリノスユース→横浜F・マリノス)、河原和寿(当時・現所属共にアルビレックス新潟)の9名。また、この時U-18東北代表としてプレーしたMF香川真司(FCみやぎユース→セレッソ大阪)は、この大会以降しばしばこの年代の日本代表に呼ばれるようになり、最終的にはU-20日本代表メンバーとしてカナダのピッチに立った。まさに仙台カップはU-20日本代表メンバーのターニングポイントとなったのだ。

  今年の仙台カップは2年後のU-20ワールドカップ出場を目指すU-18日本代表が出場する。牧内辰也監督が指揮を執るこのチームにとっては、静岡で8月中旬に行われるSBSカップと並び非常に大事な大会となる。2年後には大舞台で脚光を浴びるかもしれない若者達をいち早く見られる貴重な機会なのである。

流動的なU-18日本代表。仙台にやって来るのは?

 仙台カップに出場するU-18日本代表だが、流動的な要素が大きい。牧内監督は今年に入り、1月のオーストラリア遠征以来ほぼ月1回のペースでトレーニングキャンプや海外遠征を行ってきた。所属チームの事情、ケガなどの事情もあり、招集される選手はその都度大きく変わり、数多くの選手がテストされてきた。
その中でも選出回数が多く、今回も選出される可能性が高いのは鈴木惇(アビスパ福岡U-18MF)。既にアビスパ福岡トップチームの試合にも出ており、ご存じの方も多いだろう。中盤ならどこでもこなし、広い視野から繰り出されるパスセンスは非凡なものがある。また、日本クラブユース(U-18)選手権で準優勝したジュビロ磐田ユースのMF山本康裕も大いに注目したい。山本も既にトップチーム出場を果たしており、早々とトップチーム昇格が内定したボランチ。かつてジュビロ磐田でプレーした福西崇史(FC東京)を尊敬するという山本は、堅実な守備と攻撃に絡むプレーができ、フリーキックの技術も高い。
昨年U-18東北代表として仙台カップに出場し、ベガルタ仙台ユースからトップチームに昇格したFW鈴木弾も2月にU-18日本代表候補に選出された。今回も選出が期待されていたが、7月に練習中大ケガを負い、残念ながら今大会で招集される可能性はなくなってしまった。
その他DFでは静岡学園高校の長身DF川端良介、FWでは四日市中央工業高校の長身FW畠山祐輔、境高校FW丸谷拓也も面白い存在だ。
今大会では、今年10月に行われるAFC U-19選手権2008予選(※)に向け、更なる逸材の発掘、中心となれる選手の出現に期待したい。

※AFC U-19選手権2008は来年行われるU-20ワールドカップ2009のアジア予選。今年10月に行われるのはその大会に出るための予選。

個性派揃いのU-18東北代表。2年前の快進撃再び。

 一方のU-18東北代表だが、こちらも個性派揃い。今年も清水秀彦監督の下、面白いチームができそうだ。
今年プリンスリーグ東北5連覇を達成した東北一の強さを誇る青森山田高校には今年も楽しみな選手が多い。DF大久保翼は長身センターバックで高さ勝負・強さ勝負に強いだけでなく、非常に読みが良く的確なカバーリングも魅力だ。FW佐々木絢也、岩崎晃也の2トップは爆発力がある。佐々木は前線で体を張ったプレーができ、岩崎は豊富な運動量と高い決定力が魅力だ。
今年1月高校サッカー選手権で初優勝を果たした名門・盛岡商業高校も、今年度で定年を迎える齋藤重信監督により鍛えられた逸材が揃っている。主将でセンターバック、ボランチの両方をこなせるMF諸橋遼亮は堅実な守りが魅力で、今シーズンの守備の安定に大きく貢献している。また、MF林勇介は中盤もFWもこなすことができ、高いテクニックと攻撃センスがある。FW金濱幸広はU-18日本代表候補に選出された経験を持ち、前線で労を惜しまず走り回り、決定力もある。
ベガルタ仙台ユースではFW奥埜博亮に注目。テクニックが非常に高く、意外性のあるプレーでゴールを量産。ケガにより後半は出場できなかったが、プリンスリーグ東北では7試合連続ゴールを決めているチームの主軸だ。
日本代表選出の可能性も噂された秋田商業高校のMF下田光平は攻守の要となれるボランチ。昨年の仙台カップでは2年生ながらU-18東北代表に選出され、海外チーム相手にも堂々としたプレーを披露した。また、羽黒高校のFWウィリアムは高い個人技を誇る。
U-18東北代表は過去2回、U-18日本代表に勝利している。海外代表にも良い戦いをして欲しいが、U-18日本代表戦は、同年代のライバル相手ということでやはり負けられない相手だ。昨年も書いたが、この試合だけは日本代表は「アウェー」である。今後の海外での厳しい戦いのためにもぜひ観客の皆様には東北代表を熱心に応援していただき、日本代表の選手達にアウェーを体感させてもらいたい。

  先述の香川真司のようにこの大会での活躍が認められ、東北代表から日本代表へと引っ張られた選手もいる。ぜひとも今後に向けて良いアピールの場として欲しい。

 

▼過去大会の日本・東北ユース事情

□仙台カップ2006 日本・東北ユース事情