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欧州の2強・スペイン・ポルトガルに
ひけを取らないフランスユース
フランスサッカーの栄光と影
FIFAワールドカップ2006ドイツ大会で準優勝し、最新の世界ランキングでは4位(2006年7月)。欧州の名立たる強豪クラブチームに多くの有能な選手たちを輩出し続ける欧州のサッカー大国、フランス。1998年に自国で開催したワールドカップでの優勝を期に、フランス代表は世界の大舞台でも卓越したプレーで人々を魅了し、実力的にもトップクラスのチームであることを証明しています。
しかし、そんな栄光の影には1980年代後半に始まった代表チームの長い低迷期が隠れています。将軍ミシェル・プラティニを擁した1980年代前半には、2度のワールドカップで上位入賞(1982年4位、1986年3位)を果たし、1984年に自国開催した欧州選手権では優勝を飾った華々しい時代も一転、プラティニ世代の代表引退とともに幕を閉じ、これを期におよそ10年間も続く暗闇の時代に突入します。
プラティニらを失ったフランス代表は、1988年の欧州選手権を予選で敗退すると、1990年、1994年のワールドカップでは2大会連続で欧州予選で敗退し、完全に世界のサッカーシーンからとり残された存在となってしまいました。この時代にもエリック・カントナ、ジャンピエール・パパンといった攻撃的かつ独創的なプレーを持ち味とした有名選手がいましたが、残念ながら彼らのプレーが国を代表する舞台で華麗な結果につながることはありませんでした。いつまで続くかわからないような暗雲を、振り払ってくれる新世代の台頭をただ待ち続けるしかない、フランスサッカー界にとっては暗黒の時代でした。
ゴールデンエイジ
フランス代表が低迷を続けていた1990年代初頭、一人の若い選手が国立サッカー学院INFの門を叩きます。現在まで同校出身の選手の中でも最も強い輝きをはなっていると言われているティエリ・アンリ(Thierry HENRY)です。
INFに入学した当時のアンリは天性のスピードこそ恵まれてはいたようですが、ボールの扱い方などテクニックなら他にいくらでも上手い選手がいたそうです。しかし、ここでサッカーの基礎をしっかり身につけ、組織的かつ化学的なトレーニングによって持ち前のスピードをさらに向上させ、さらに高い身体能力とテクニックを身につけることで、フランスユース代表へと着実にステップアップしていきます。
U-15から各年代のユース代表に選出されるようになったアンリは、95/96シーズンのU-19欧州選手権(当時の名称はU-18)では、前年度のチャンピオンで欧州ではポルトガルと並ぶユース王者のスペインを決勝戦で自らの2ゴールで下し、ついには欧州ユースのトップにまで登りつめることに成功しました。
さらに、翌年マレーシアで開催されたFIFAワールドユース1997(現U-20ワールドカップ)には、同国として20年ぶりとなる出場を果たします。準々決勝でウルグアイにPK戦の末敗れはしたものの、この大会のU-20フランス代表には、のちにワールドカップ2006ドイツ大会に出場することになる選手が実に6名もいました。
GKのMickael LANDREAU、DFのWilly SAGNOL、Mikael SILVESTRE、William GALLAS、FWのDavid TREZEGUETそしてThierry HENRYです。
まさに、ゴールデンエージと呼ぶにふさわしい選手たちでした。
サッカー協会によるユース育成
アンリやトレセゲといったスーパースターを輩出したフランスでのユース育成について見てみましょう。
他の欧州各国と同様に、フランスサッカーにおけるユース育成はクラブチームでも行われていますが、他国とは大きく異なる特徴として、フランスサッカー協会が設立した国立サッカー学院INF(Institut National du Football)による中学生世代の育成があげられます。同校で育成の対象としているのは12〜15歳までの少年たちで、ここでは基礎に重点をおいた教育がなされ、科学的な根拠に基づいたトレーニングを取り入れているのが特徴です。例えば、アンリのような天性のスピードを持った選手に対しても、身体の動かし方一つ一つを科学的な知見から見直し改善することで、さらに能力を伸ばすといったことまで取り組んでいます。
また、こういったINFの取り組みが、各地方のクラブチームでの育成にも大きな影響を与えており、フランス全土である程度統一された考え方、手法をもとにユース世代の育成がなされているようです。
フランスユース代表
育成に力を入れていることからも伺えるように、フランスサッカー協会ではユース代表を大変重要なものとして位置づけています。各年代のユース代表では、大きな大会以外に毎年10試合前後の親善試合と強化キャンプを重ね、選手の発掘とチーム作りに取り組んでいます。
フランスでは他の欧州各国と同様に16歳から19歳までのユース代表チームを構成しています。ユースの枠を超えた20歳以上のチームについては、大会に合わせたチーム作りが都度なされています。
ここで、欧州におけるフランスユース代表の位置を見てみましょう。UEFA(欧州サッカー連盟)では、ユースカテゴリの大会としてU-17、U-19、U-21と3つのカテゴリで欧州選手権を開催しています。近年のフランスユースの位置を確認するために、1990年以降に開催された大会での上位チームの成績を各カテゴリごとに見てみます。
■U-17欧州選手権(90/91〜05/06シーズン、毎年開催)
スペイン:優勝4回、準優勝4回、3位2回、4位1回
ポルトガル:優勝4回、3位1回、4位2回
フランス:優勝1回、準優勝3回、4位3回
ドイツ:優勝1回、準優勝1回、3位3回、4位1回
欧州のU-17世代では、スペインとポルトガルの個人のテクニックが非常に高い2チームの強さが際立っています。フランスは、決勝戦に4度進出しており準優勝3回という好成績を収めており、2強に続く3番手に位置しています。
■U-19欧州選手権(90/91〜05/06シーズン)
スペイン:優勝4回、準優勝1回、3位4回
ポルトガル:優勝3回、準優勝2回、4位2回
フランス:優勝3回、準優勝1回
ドイツ:優勝1回、準優勝2回、3位2回
U-19になると、フランスはスペインとポルトガルの2強に肩を並べる成績をおさめています。 ■U-21欧州選手権(90/92〜04/06シーズン)
イタリア:優勝5回、3位1回
スペイン:優勝1回、準優勝1回、3位2回
チェコ:優勝1回、準優勝1回
フランス:準優勝1回、3位2回、4位1回
8大会中優勝5回とイタリアの強さが抜きん出ていますが、フランスは優勝こそないもののスペイン、チェコに次ぐ4番手に位置しています。
以上のように、フランスユース代表はU-17とU-19というユースカテゴリの中ではスペイン、ポルトガルといった2強に肩を並べる存在であることがわかります。
欧州のユースサッカーと言えば、スペインやポルトガルといった個人技の能力が非常に高く、攻撃的なチームが強いというような南米と似たイメージが思い浮かびますが、フランスユース代表も実はトップチームのように世界の強豪の仲間入りをしているのです。
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